2014年4月6日、ミュージカル「アダムス ファミリー」の初日公演を観に青山劇場へ行きました。私は評論家ではないし、レビューを書くのも得意ではないのですが、一個人のメモとしてここに書き残しておきます。(写真撮影:青柳裕久)
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「アダムス ファミリー」といえば映画でお馴染みの、あのアダムス ファミリーです。「ジャジャジャジャン♪」で始まるテーマソングは、あまりにも有名。あの曲を聴くと何となく気持ちが乗ってきて、つい今でも指を鳴らしたくなる衝動に駆られます。

一家の主ゴメスを演じたのは、橋本さとしさん。その妻モーティシアは、真琴つばささんです。ミュージカルの名優と元宝塚のトップスターの二人が軸になって、全体的に安定感のある舞台に仕上がっています。
やはり宝塚女優って、すごいです。歌、演技、魅惑的な身のこなし、どれをとってもさすがです。はじめて生で見たのですが、磨き上げられた実力にはうなずくばかりです。

娘ウェンズデー役は、昆夏美さんです。彼女は雰囲気が似てるのですよ、あのウェンズデーに。そして、歌が本当に素晴らしい。小柄な女性なのですが、声量も伸びも目を見張るものがあります。ウィキペディアによると、「ミュージカル界の新世代の歌姫」と呼ばれているのだそうです。
執事ラーチ役の澤魁士さんも、外せません。長身から伸びる大きな手と低い声。この役には、この人しかいません。あばあちゃん役の鷲尾真知子は、とぼけた名脇役。この方、アニメ「うる星やつら」のサクラ先生の声をやっていた人なのですね。
今井清隆さん演じるゴメスの兄フェスターおじさんも、良かったです。ロマンティストな愛されキャラがにじみ出ていました。祖先達を10人のダンサーも、良い仕事をしていました。歌や踊りに華やかさを添えるだけではなく、若い二人の行方を心配そうに見守る姿に温もりを感じました。

ウェンズデーの恋人ルーカス役は、柳下大さん。気の弱い普通の男の子を、自然に演じていました。ルーカスの母親役の友近さんも、熱演でした。お笑い芸人さんなので演技力は当然としても、歌も上手です。父親の菅原永二さんは、こぼす一言で会場を沸かせていました。
今回のアダムス一家は、本当にはまり役ばかりです。映画のインパクトが強く残りすぎていて、この物語にうまく入り込めるか心配だったのですが、まったく違和感を感じさせない抜群のキャストでした。
本作品のテーマは、家族愛です。価値観や生き方がまったく違う二つのファミリーが巻き起こす、摩擦や緊張をコミカルに描き出しています。小さなネタがあちこちに仕込まれていて、客席からは笑い声が絶えませんでした。難しいことは考えずに、リラックスした雰囲気のなかで楽しめます。
ニューヨークのセントラルパークで暮らすアダムス家は、スペイン移民。ということで、音楽や踊りにはスペイン色も多く織り交ぜられていますし。
この作品、お勧めです。

会場に行かれた方は、必ずパンフレットも手にしてください。ハードカバーなのですよ。そして、中身もこだわりをもって製本されています。
ミュージカルって、本当に面白いですね。